お木曳(エンヤ曳き)
一般の陸曳きの終点は外宮(げくう)です。
終点目前は奉曳のクライマックスになります。
その外宮に入る直前にはエンヤ曳きと呼ばれる曳き方で曳くケースが多いのです。
エンヤと言ってもアイルランドのミュージシャンのエンヤや
模型用のエンジンのエンヤとは無関係です。
エンヤ曳きとは簡単に言えば走りながら勢いよく曳く、ということです。
私も19年後となる体力的に厳しいだろうし世の中不透明感盛り沢山なので
このエンヤ曳きには是非参加したいと思っていたのですが
エンヤ曳スタート地点到着時に告知がありまして、
女性、子供、足に自信の無い人、靴を履いている人は遠慮して欲しいとの事。
「うーむ、靴ではだめなのか、仕方ない。」
と諦めて写真を撮るポジションを探し陣取って待っておりました。
ほどなく綱が伸ばされてきたのでいよいよだな、と見ていると
「あれ?女性もいるし靴履きの人も居るぞ?」
こうなると遠慮するのもアホらしいのでそそくさと進行方向に向かって右の列に混じりました。
木遣りが三本歌われ「エンヤー!!」の声高らかに一斉に駆け出します。
しかし、ほどなくハプニング発生です。
左の綱で転倒者が出たため玉突き衝突的にバタバタと人が転んでいます。
エンヤ曳き開始前に転けても綱を放さないように、と青年団員さんから説明がありましたが
残念ながらそううまくは運ばず連鎖的に転倒者が発生。
どうにか後続の人がうまく避けることができたようでしたし皆は走り続けています。
しかし、左の綱は少なくとも10人くらいは抜けてしまっているので綱が地面を這っています。
実はお木曳において綱は御用材と我々を繋ぐ神聖なものとして扱われ
踏んだり跨いだり地面に直置きしたりしてはいけないという不文律があったりします。
奉曳団によって考え方はいろいろあるようですが陸曳の団はそういう考え方の団が多いようですし我が河崎六ヶ超奉曳団でもそうです。
その神聖なものである綱が目の前で地を這うように進んでいるのを目にすると自然と
「拾い上げなあかん!」との感情が沸き起こりまして。左の綱に駆け移り拾い上げました。
『よくできました!』
と自画自賛したいところですが、その時拾いに行った綱を跨いでいるのです、これは失敗。
起きたことやっちゃったことは今更どうしようもない事なので良い思い出にできます。
今回転んでしまった人も、後続で転けた人を避けた人もそれぞで思い出になった事でしょう。
トラブルなんて無い方がいいのかも知れませんがちょっとした事ならスパイスみたいなもので
かえってその方が印象深くなるってものだと思っております。
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